殺島飛露鬼(やじまひろき)は“破壊の八極道”の1人で、忍者と極道の死闘いにおける第2の刺客である。
第三章「情愛大暴葬」は彼が極道側の主役だ。
「よう、神だぜ」をはじめとするカリスマ性溢れる言動は多くの読者を虜にし、窮屈な“大人”の生活に苦しむ大人達に寄り添う姿は現実世界で苦しむ大人達の目を潤ませた。
作者神曰く、殺島の登場以降『忍者と極道』の人気も上向きになってきたという。
それではどんな人物なのか、本記事では殺島飛露鬼についてまとめていく。
『忍者と極道』の概要
『忍者と極道』は2020年1月20日より連載が開始された近藤信輔によるアクション漫画。
講談社が運営する漫画アプリ/ウェブコミック配信サイト「コミックDAYS」および「マガポケ」にて絶賛連載中であり、濃密なストーリーが迫力のコマと独特なセリフ回しによって軽妙に展開されていることで人気上昇中の作品だ。
ストーリーは裏社会で悪事をかます極道とそれを誅し裏から民を守る忍者の長きに渡る因縁の物語ではあるが、本質は何も知らずに知り合い友情を深めていく2人の主人公が、実はそれぞれ忍者と極道であったというところにある。
忍者と極道の因縁を通して見える2人の感情や関係性に注目だ。
単行本は講談社〈モーニングKC〉から最新14巻まで刊行されている。(2024年11月13日現在)
忍者と極道:殺島飛露鬼(やじまひろき)の特徴とプロフィール
殺島飛露鬼(やじまひろき)は“破壊の八極道”の1人で、初登場は第4話。(ちゃんと描かれるのは第8話以降)
クセ毛の無造作ヘアに、女も男も惚れる憂いあるタレ目とタレ眉が特徴の色男だ。
左目元と右口元にホクロがあるのもセクシーで、大人の色気に溢れている。
殺島は講男會傘下・長沢組の若頭。
1981年2月1日生まれの39歳。
身長183㎝、体重78㎏。
タバコはセブンスター。
好きなものは娘の花奈、自分を好いてくれる人と遊ぶこと、セブンスター、チャンプロード。
腕には9年前に娘に貰った『フラッシュ☆プリンセス』の玩具のブレスレットをつけている。
背中に自身が90年代に作った暴走族「暴走師団 聖華天」のマーク(炎上する帝都高の路線図)の刺青を入れているほか、イチモツに「暴走族神」の文字を入れている(番外編)。
イメージカラーはやらしーピンク。
忍者と極道:殺島飛露鬼(やじまひろき)の人柄・性格
殺島飛露鬼(やじまひろき) は生まれつき人に好かれやすい性質。
悪童を酔わせる存在感=神性を持ち、ガムテにも懐かれている。
女遊びが好きだが、娘が生まれてからはデートするだけ。
初対面の子にも秒でキスはするが、舌は入れないと決めている。
言動は軽めだが、年齢なりの気遣いや見識が窺える。
殺島の過去
中学時代に母を亡くす
殺島は中学生の頃、唯一の家族である母親を病で亡くした。
その悲しみを紛らわすように、同級生の有羽汰駆と詩隈殴偉人、いつも殺島達のことを見ていた小学生の逢魔賀広偉を誘い「暴走師団 聖華天」を作った。
以来「聖華天」が殺島にとっての家族となる。
「聖華天」という名はどうやら殺島の母が生花店を営んでいたことが由来のようだ。
ちなみにメタ的な由来は、作者が中学時代にヤンキーの知識を教えてくれた友人の言葉からきているそう。
聖華天の黄金時代と解散
殺島は90年代末期に「暴走師団 聖華天」を作り、数々の抗争を勝ち抜いた末に全日本の暴走族・走り屋の統一を史上初めて成し遂げた男。
10万人を超える少年達を率いて帝都高速道路を暴走していた帝都高の“生きる伝説”であり、不良界の神性「暴走族神」として日本の全暴走族から崇められた存在であった。
暴走は暴走族にとって正に“夢”…10万人の少年達が「暴走族神」のもとで“暴走”に酔いしれていた。
ところがちょうどその頃に蘇った“忍者”が暴走を襲撃し、聖華天は“半殺し”に遭って5万人の仲間を失い、解散へと追い込まれてしまう。
しかし解散した後も殺島は黄金時代を忘れられない“大人”達の心の拠りどころとなっていた。
家庭と別れ
聖華天の解散後、殺島は極道ドラフトによって長沢組に就職。
持ち前の人に好かれやすい人柄もあり、気づけば25歳で組の本部長までのし上がっていた。
殺島は大人になったことも「悪くない」と思う。
そして何より殺島の人生観を変えたのが、結婚して娘の花奈が生誕れたことだった。
殺島は生まれて初めてただ“与えたい”と思い、花奈のためなら、花奈を幸せにするためなら何でもできた。
しかし妻のノリカとはうまくいかなくなっていき、離婚して花奈の親権も奪われてしまう。
ノリカの再婚相手が上司である長沢組組長であり殺島は笑うしかなかったが、花奈が不自由なく幸せに成長するのを見守るだけでも殺島は満足であった。
ところがある日、長沢組の事務所が忍者に襲撃され、組員の流れ弾によって花奈が亡くなってしまう。
殺島は襲撃をかけた忍者を恨み、そんなところに住まわせていた組長とノリカを恨み、何より花奈を守れなかった自分を恨んだ。
そしてかつてノリカに言われた「大人になってよ!!!」という言葉が殺島の世界を砕いた。
極道との関係性
花奈の死から殺島の世界は一変し、殺島にとって“大人”の日々はただただつらいものとなる。
殺島は酒に溺れ、ひたすらに涙を流してはあの“暴走”を思い出していた。
そんな日々を何年も何年も繰り返していた廃人同然の殺島の前に、ある日輝村極道が現れる。
極道は「全部忍者が悪い」とし、殺島を打倒忍者の道へと誘った。
この出会いを機に殺島は職場復帰を果たし、極道のバックアップを得ながら若頭までのし上がった。
現在殺島は極道を「ボス」と呼び慕い、夢澤死亡後は極道の運転手も務めている。
忍者と極道:殺島飛露鬼(やじまひろき)の強さ
殺島飛露鬼(やじまひろき)の戦闘力は“破壊の八極道”の中でも下から二番目であり、決して強い方ではない。
ただし人に好かれるカリスマ性はトップクラス。
後述のように銃が得意であり、特攻服の中には何丁もの銃をストックしている。
極道技巧
殺島の極道技巧は『狂弾舞踏会』。
『狂弾舞踏会』は弾丸同士あるいは瓦礫など何かしらの物体に弾丸を跳弾させることによって、変幻自在の弾道であらゆる方向から的を狙うオールレンジ攻撃である。
回避できても躱した弾丸がまた瓦礫を作り、より複雑な弾道を作っていくので非常に厄介だ。
ちなみに殺島が極道に語っていた助言によると、“跳弾のコツ”は跳弾点を“秒”で見極める洞察力と“0.01ミリ単位”弾を当てる狙撃力らしい。
さらに帝都高の戦いの殺島は麻薬の力で動体視力が強化されており、精度も激増になっている。
また『世界の終わり』という極道技巧も持つ。
『世界の終わり』は拳銃自殺をするように見せかけ、頭蓋骨の中で跳弾させた弾丸を片目から発射するという奇襲技。
最後の最後、まさに“世界の終わり”に油断した相手を道連れにする自爆技である。
忍者と極道:殺島飛露鬼(やじまひろき)の活躍
第二章「燃える仁義のカブチカ」
陽日の仇の1人
極道と行動を共にしており、夢澤恒星率いる竹本組と忍者・祭下陽日の死闘が行われたカブチカへ。
満身創痍の陽日を発見し、ガムテと共にとどめを刺した。
ニケツで夢澤を送る
カブチカからの帰り道、極道が『フラッシュ☆プリンセス!』ヒース様のキャラソン「孤独の唄」を鎮魂歌として夢澤を悼んでいた。
その歌をこれまでに何度も聴き感銘を受けていた殺島は、「“二重唱”…いいスか?」と許可を取ると、極道と一緒に口ずさんで共に夢澤の魂を送った。
第三章「情愛大暴葬」
かつての仲間を集める
「よう、神だぜ」と殺島はかつての仲間に電話。
この“神のひと声”によって、全世界に散っていた元「聖華天」5万人が再集結する。
殺島は子供の頃の“暴走”を忘れられず“大人”に苦しむ仲間達に、“黄金時代”の“暴走”の続きと忍者への復讐をもって彼らを救済しようとしていた。
暴走開始
鎌田・川口・市川・松戸から出発した元聖華天は極道に用意してもらっていた上等の極道者1万台で帝都高での暴走を開始。
帝都高全域が瞬く間に火に染まった。
そしてこの暴走を止めるために、5人の忍者が帝都高の5か所に出現する。
多仲忍者と対峙
殺島の前には多仲忍者が立ちはだかった。
殺島は忍者を挑発しながら『狂弾舞踏会』で翻弄。
両足を撃って動きを奪い、忍者の眉間を撃ち抜いた。
あまりのあっけなさに殺島は、花奈の仇が「こんなモンかよ」とやるせない怒りで震えた。
完全敗北
ところが忍者は驚異の回避で弾丸を受け流していた。
そして『狂弾舞踏会』を応用した動きで殺島の左腕を飛ばす。
すると追い込まれた殺島は降参を宣言。
そして「聖華天」は大人の日々に心折れた負け犬であり、世間の誰からも理解されない孤独な者であり、自分はそんな奴らを少しだけでも肯定してやりたかったと吐露し、自らのこめかみを撃ち抜いた…。
が、これは殺島の極道技巧の1つ『世界の終わり』であった。
しかしその動きは忍者に読まれており、殺島は「それなら仕方ない」と諦めて首を飛ばされた。
殺島の死後
首を飛ばされた後、殺島の前に上り階段と下り階段が現れる。
上の方からは花奈の声が聞こえたが、しかし殺島は想いを抑えて下への階段を選んだ。
「悪いことをしたら責任を取らないと」
殺島の“大人”としての選択であった。
ただし階段を下った先には聖華天の仲間達が待っており、殺島は彼らと最高の笑顔で地獄の底へと出発した。
まとめ
殺島飛露鬼(やじまひろき)は“破壊の八極道”の1人であり、第2の刺客として忍者と戦い死亡した人物。
印象的なセリフの多い殺島はいわゆる「忍極語」を確立させた人物であり、多くの読者が圧巻の神性に酔いしれることとなった。
また聖華天の行いは当然社会的に許されるわけがない悪であるが、“大人”に苦しむ“大人”達の姿は多くの大人達の共感を呼んだ。
39歳というリアルな年齢だからこその格好良さと苦しみを感じる、“暴走族神”の人生に注目だ。
転勤で全国を渡り歩く流浪のマンガ好き。
現在は北海道在住で金カム等の聖地巡礼を満喫中。
自分用のメモを発展させブログにした形でして、端的にまとめるためにあえて感情を省いた文章にしています。
基本的には自分が好きな漫画だけになりますが、作品を知りたい・内容をおさらいしたい・より漫画を楽しみたい等のお役に立てればと思っています。