苫小牧・白鳥アリーナで開催中のアイスホッケーIH決勝。
前代未聞20連覇の重圧がかかる狼之神と、狼之神と対を成す強豪であった釧路天鶴を破り勝ちあがってきた鮫王では、試合に対する心持ちが大きく違ったはずだ。
試合は絶対王者・狼之神の敗北という衝撃の結末に終わった。
会場となっていた狼之神の地元・苫小牧市民は言葉を失う。
ただしその中で源間慶一が「奪い返す」と燃え、ロウがアイスホッケーに触れた感動で目を輝かれていた。
しかしそのロウのもとに、殺意に目覚めたハルナが接近ッ…!!
逃げろロウ!!
「全ての挫折を祝福に変える!アイスホッケー超回復コミック!!」
本記事では第12話「挫折」の内容をまとめていく。
『スピナマラダ!』との読み比べもオススメ
また待望のキャスト発表があった実写映画『ゴールデンカムイ』に向けて、原作『ゴールデンカムイ』の読み直しもこの機会に是非!
『ドッグスレッド』12話の見どころネタバレ
①策士ハルナ
ハルナの殺意の波動を感じたロウは狂った犬のように疾走って逃走する。
が、途中で転んだハルナが「折れた!!」というのでロウは心配しながら近づく。
そこへハルナの完璧なタックルが決まってロウは捕まる。
②ロウを辞めさせたくないハルナ
ハルナは「本当はフィギュア辞めたかったんでしょ?」とロウを問いただす。
母の作ったプログラムで日本一という結果を出したロウはあの日、何かから解放されたようだったとハルナは言う。
しかし客席にいたハルナを見つけ「やっと辞められると思ったのにまだコイツがいた」と思ったのではないかと。
だからあんな風に大暴れしたのではないかと。
そう理解を示しながらも、ロウがフィギュアを辞めることは許さないとハルナは言い放つ。
だって辞めさせられたハルナの方がロウよりずっとフィギュウが大好きだったのだから。
③ロウの本音
ロウはハルナに謝罪する。
つまり「辞めたかったのではないか」というハルナの言葉が図星だったわけだ。
ロウも始めは楽しくやっていたのだが、そのうち母とハルナのために勝たなければならなくなったのだとロウは言う。
母はいつも「スケートを楽しんで。演技ににじみ出るから」と言っていたが、“楽しい”なんてもはやロウからはなくなっていたのだ。
「自分の人生のために戦ってこい」と言われた方がマシだった、とロウ。
「オリンピックは“好き”の大きさだけじゃ届かない場所」と母は言っていたわけだが、やはり“好き”や“楽しい”がまず土台になければならないのだ。
それでも大好きな母のためにオリンピックに連れて行ってあげたかったとロウは言った。
④ロウが大暴れした理由
「じゃあ私のために続けてよ」とハルナ。
しかしそれがハルナの幸せになるのかとロウが問う。
ハルナは他人に夢を背負わせて、ロウは他人のために夢を背負って…果たして誰が幸せなのか。
誰も幸せにならないから、ロウはあの日大暴れしたのだ。
自分のため、そしてハルナにも自分の新しい道を見つけてもらうため。
そういった自分なりの前向きな理由でフィギュアを辞めようとしていたロウだが、やはりハルナの気持ちを思うと「ごめんハルナ」と謝るしかなかった。
⑤ハルナの本音
「ごめんハルナ」はハルナが母からさんざん聞いていた言葉であった。
本当はそんな言葉をもらうのではなく、ハルナはもっと母とスケートしたかったのだ。
涙を浮かべながら本音を吐露したハルナはそのまま怒り立ち去る。
ロウはその背中に「前を向いて走るしかないじゃないか」と訴えた。
⑥優勝後の五戸くん
場面は変わり青森県八戸市。
八戸はIHで狼之神の20連覇を阻止し優勝した鮫王高校がある場所だ。
ということで鮫王2年・五戸矢太郎くんの爽やかな登校シーンから始まる。
五戸くんは9話で名前が新登場した鮫王のGK。
ゴールデンカムイの有古と谷垣を足して割ったような非常に可愛らしい少年なので、さっそくの活躍嬉しい限りである。
途中で桐渕と合流し、IH優勝の余韻、王者となった喜びを噛みしめる。
ちなみに五戸くんの通学路に見えるのはおそらく蕪嶋神社。
自分はまだ行ったことがないのだが、王道観光スポットでもあるので聖地巡礼と観光を兼ねて是非。
⑦注目人物・風張一馬
授業中も仲間たちと余韻を噛みしめつつ、王者として先を見据えて意気込んでいた。
19連覇を成し遂げた狼之神の偉大さを感じると共に、今度は自分たちがそれを目指すのだ。
そしてその一歩を踏み出せるほど、来年の鮫王はさらに強くなるという自負がある。
なぜなら今回の優勝メンバーの主力の殆どが五戸ら2年生であったうえに、4月からは「桐渕の相棒」であった鮫町中のエース・風張一馬という少年が入学してくるのだ。
優勝して勢いづく鮫王アイスホッケー部であるが、新チームになったらますます強くなりそうなので、また狼之神との対戦が楽しみである。
⑧舞台の日付はあの日だった…!
そんな来年を心待ちにする少年たち含んだ日常の教室に、突如けたたましい音が鳴り響く。
ギュワッギュワッギュワッという独特の音は、皆の携帯から鳴り続けていた。
生徒たちが画面を見ると、そこにはエリアメール「緊急地震速報」の文字が。
そう現在2011年3月11日14時46分。
舞台はあの日だったのである。
世界の空気がズン!!と重く揺れる。
『ドッグスレッド』12話の名言
白川春名
「私だってもっとお母さんとスケートしたかったのに!!」
白川春名
「その煙突お前のクチに突っ込んどけよ!!」
白川朗
「転んでも立ち上がらないと…!!前を向いて走るしかないじゃないか!!」
桐淵悠人
「わーんど(俺たち)が王者だじゃ!!」
『ドッグスレッド』12話のあおり文と予告
【あおり文】
2011.3.11 14:46
【予告】
次号、あの日。
『ドッグスレッド』ネタバレ12話のまとめ
ハルナとロウが2人とも母が好きだったことが伝わってきたが、ハルナの思いとロウの思い、どちらも理解できるからこそどうにかどちらにも幸せになって欲しいと願うのみだ。
2人の間の折り合いはまだつかなかったが、とにかく2人が本音をぶつけ合ってくれてよかった。
あの日の一件に触れたことで2人にとっては一歩前進した出来事になったと思うし、鮫王のその後とさらにこれからに対する期待も見られてとても前向きな1話であった。
と終えようとしたところで、ギュワッギュワッギュワッの音で心臓が飛び出そうになった。
文字になってもあの音への不安感・緊張感は抱くようである。
というわけで野田先生は東日本大震災に触れていくようだ。
ハルナとロウのフォギュアを巡る話もそうだし、常勝・狼之神の敗北もそうなのだが、主軸はアイスホッケーだがそれを通じたあらゆるデリケートでシビアな部分に切り込んでいくという野田先生の覚悟が今回の大震災でハッキリと感じられた。
ゴールデンカムイで同様にアイヌというデリケートなテーマを描き切った野田先生だからこそ、東日本大震災をどう描くのか必見である。
当然読む側も覚悟が必要な展開となるだろうが、本作品は最初から「全ての挫折を祝福に変える!」がテーマとなっているのでその超回復の過程に注目していきたい。
転勤で全国を渡り歩く流浪のマンガ好き。
現在は北海道在住で金カム等の聖地巡礼を満喫中。
自分用のメモを発展させブログにした形でして、端的にまとめるためにあえて感情を省いた文章にしています。
基本的には自分が好きな漫画だけになりますが、作品を知りたい・内容をおさらいしたい・より漫画を楽しみたい等のお役に立てればと思っています。