2022年4月に大団円を迎えた『ゴールデンカムイ』から1年3ヵ月。
「早くも」とも「やっと」とも言いたい、ファン待望の野田サトル先生の新連載が始まった!
『ゴールデンカムイ』最終回にて「次回作はデビュー作『スピナマラダ!』の再創生」だと知らされていたため『スピナマラダ!』ファンとしても非常に楽しみであったが、一体どのように生まれ変わったのか!?
「改善、成長、強化。失敗から栄光。回復だけでは物足りぬッ!これは、全ての挫折を祝福へ帰る、超回復の物語ッッ!!」
本記事ではさっそく第1話「狂犬王子」の内容をまとめていく。
『スピナマラダ!』との読み比べもオススメ
『ドッグスレッド』1話の見どころネタバレ
①主人公はフィギュア少年
2010年横浜。
全日本ジュニア選手権大会決勝の大トリを務めるのは、南伏見フィギュアスケートクラブの白川朗。
中学生ながら女子を中心にすでにファンの多い端正な顔立ちをした少年だが、普段より念入りにルーティンをしている様子に同じスケートクラブの少女たちが心配をしている。
②ロウは1人で戦う
実はロウは、コーチから衣装まで全部やってくれていた母アキコを失ったばかり。
自損事故で警察は「居眠り運転だろう」と結論付けたようだが、なんとロウは助手席で母が亡くなるのを見ていたらしい。
ロウの顔にもまだケガの痕が残っている。
当然演技なんて出来る状態では無いはずであり、実際に昨日の演技はボロボロだったようだ。
いつも声をかけてくれていた母はもういない。
ロウには双子の妹ハルナもいるらしいが、もう何年もロウの試合には来ていないそうだ。
つまり今ロウは氷上でたった1人で戦っている。
③迫力の演技
しかし今日のロウの演技は素晴らしかった。
ロウは母が最後に作ってくれたプログラムのすべてをこのリンクに乗せた。
野田先生の技術が詰まった迫力の描写は必見だ。
あまりの美しさで会場中を魅了したロウはノーミスで演技を終え、誰もいないキス・アンド・クライにてひとりで採点を待つ。
結果は140.75で、総合得点は歴代最高点の196.72。
暫定1位の八木沼真人を余裕で抜いて最終順位は第1位となった。
優勝を掴んだロウはガッツポーズで心から喜び、会場も大いに沸く。
フィギュア界は資金面で断念する選手も多く、母を失ったロウもその点が心配されたが、この優勝はスポンサー契約など次に繋がるかもしれない大きな結果であった。
④ロウ大暴れ
その時リンクに椅子が投げ込まれ、会場が一気に静まり返った。
そして直後、大きなどよめきに包まれる。
なんと椅子を投げ入れたのはロウであり、それだけでなくスポンサーボードを蹴り破ったり八木沼に手袋を叩きつけたり、やりたい放題の大暴れをしたのだ。
ロウは無期限出場禁止処分となる。
ニュースにも取り上げられたが、誰もロウの行動の意図はわからなかった。
⑤舞台は北海道へ
まもなくロウは妹のハルナ(春名)と共に北海道は苫小牧へと渡る。
母方の祖父が、母とは約20年疎遠だったにもかかわらず2人を引き取ってくれたのだ。
とはいえ母の遺した貯金でもう少し先までフィギュアを続けて結果を出していれば、ロウのなら大口のスポンサーがつき、苫小牧にくる必要もなかっただろうとハルナは言う。
「ねえロウ君、ホントになんであんなことしたの?」
ロウは答えない。
⑥アイスホッケーの強豪・狼之神高校
2人はまだ知らないが、2人の越してきた苫小牧には狼之神高校というアイスホッケーの超強豪校がある。
現在帯広で行われている高校アイスホッケー全道大会でも、釧路の強豪チーム天鶴高校を降して優勝していた。
狼之神も天鶴も共にインターハイへの出場が決まっており、そちらの決勝でも相まみえるだろうという因縁とも言える対決ではあったが、狼之神の面々は特に喜びを表してはいなかった。
なぜなら彼らの望むものはインターハイの優勝のみだから。
なんと狼之神にはインターハイ20連覇というとんでもない記録がかかっているのだ。
1か月後に行われるインターハイは苫小牧で開催される。
⑦源間慶一
狼之神の試合を源間慶一という少年も見に来ていた。
狼之神の選手である兄とセットで“源間兄弟”と呼ばれており、「慶一が来年入部すれば狼之神はあと3年間は王座が保証される」と言われるほど期待されているようだ。
⑧ロウはスケートリンクへ
苫小牧は雪が少ないため、池が天然のリンクになるそう。
ロウは幼い頃の母も遊んでいたという近所のスケートリンク(池)に赴き、スケートへの思いを噛みしめていた。
フィギュアスケーターとしての人生を手放してしまったとはいえ、母から教わったスケートだけは無駄にしたくないと考える。
そこへ、近所のアイスホッケー少年たちが「そっちのゴールの周りでは滑らない方がいい」と忠告しに来た。
リンクには1つアイスホッケーのゴールが置かれていたのだが、そこは源間兄弟の縄張りであり、そっちの氷に乗ると源間弟に殴られるのだと少年たちは言った。
⑨ロウと源間慶一が出会う
彼らの言葉を気にせず滑り続けるロウ。
するとそこへ本当に源間弟=源間慶一が鬼の形相でやってきた!
しかしロウは逃げずに慶一の強襲を華麗な滑りで躱し「日本一のスケートを見せてやる。かかって来い」と煽ってみせた。
『ドッグスレッド』1話の名言
白川朗
「母さんが最後に作ってくれたプログラム、全てをこのリンクに…」
白川朗
「母さんの教えてくれたスケートだけは無駄にしないぞ」
源間慶一
「お前の血でゴールライン引いてやる!!」
白川朗
「怖くて逃げる姿は醜い!!」
白川朗
「日本一のスケーティングを見せてやる」
『ドッグスレッド』1話のあおり文と予告
【あおり文】
氷の上に立てるのは、鋭い刃を持つ者だけだッ!!
【予告】
次回、感情は激情!氷上が戦場!!
『ドッグスレッド』ネタバレ1話のまとめ
『スピナマラダ!』は母の死をきっかけとした環境の変化に対し暗い描写が多かったように思うが、『ドッグスレッド』ではそういった印象は少なく、“なぜロウはあんなことをしたのか”という謎を残しつつすっきり読み始められるようになっていた。
ロウの見た目もやや変わり、苦手なもの(虫や猫)を人(ハルナ)任せにしていたり、なにかと美しさに拘っていたりする様も含めて『ゴールデンカムイ』の鯉登音之進に寄ったキャラクター性を感じる点も、前作より前向きな印象を与えているのかもしれない。
そしてやはり相変わらず画力が凄い。
『ゴールデンカムイ』で見せてくれたド迫力の描写と同じ躍動感でフィギュアスケートの繊細かつ力強い動きが表現されており、つい見入ってしまう。
また、前作の「勇払高校」が「狼之神高校」という名に変化しているのはゴールデンカムイとの繋がりを意識してのことだろうか。
そして狼之神高校に尾形百之助の子孫と思われるそっくりキャラがいるのはファンサービスといったところであろうか。
しかし尾形と同じこの顔でアグレッシブなスポーツをしている姿は想像できない…。
ともかく新作も野田サトル風味満載といった感じで、隅から隅まで見逃せないなと覚悟させられる第1話であった。
アイスホッケーを知らない方でもゴールデンカムイから野田ファンになった方でも存分に楽しめる作品になると予想されるので、次回も楽しみにしていよう。
転勤で全国を渡り歩く流浪のマンガ好き。
現在は北海道在住で金カム等の聖地巡礼を満喫中。
自分用のメモを発展させブログにした形でして、端的にまとめるためにあえて感情を省いた文章にしています。
基本的には自分が好きな漫画だけになりますが、作品を知りたい・内容をおさらいしたい・より漫画を楽しみたい等のお役に立てればと思っています。